最終更新日 2025年5月19日 by nfobiz

「どうして私の競馬予想は当たらないんだろう…。」
競馬ファンなら誰もが一度は抱えるこの悩み。
「結局、競馬なんて運でしょ?」と諦めてしまうのは、まだ早いかもしれません。

こんにちは。
元銀行マン、現在は競馬ライターとして活動している石原拓実です。
数字を追いかける日々から一転、競馬の魅力に取り憑かれ、今ではオッズと騎手心理を読む“マーケット派”として情報を発信しています。

競馬予想は、単なる運試しではありません。
そこにはロジックと感情が複雑に交差し合う、奥深い世界が広がっています。
この記事では、多くの競馬ファンが陥りがちな「3つの誤解」を解きほぐし、勝負に必要な“確率思考”と“読み”を取り戻すためのお手伝いをします。

あなたの競馬観をアップデートし、新たな一歩を踏み出しましょう。

誤解その1:「人気馬に乗れば安心」という幻想

競馬初心者の方や、なかなか予想が的中しないと悩んでいる方の中には、「とりあえず人気馬を選んでおけば間違いないだろう」と考える方が少なくありません。
しかし、ここに最初の大きな落とし穴があります。

オッズと“人気の裏側”の構造

オッズは、その馬の強さを絶対的に示すものではありません。
確かに、単勝オッズが低い馬は「1着になる可能性が高い」と多くの人に支持されている証ではあります。
しかし、オッズは馬券の売上、つまりファンの投票によってリアルタイムに変動する相対的な指標なのです。

考えてみてください。
もしオッズが常に馬の実力を正確に反映しているのであれば、高配当が出ることはありません。
しかし現実はどうでしょう?
万馬券が出ることもあれば、1番人気があっさり負けることも日常茶飯事です。

これは、オッズが馬の実力だけでなく、様々な要因によって形成されている証拠と言えるでしょう。

馬券購入者の集団心理と“過剰評価”

では、なぜ人気馬のオッズは時に実力以上に低くなるのでしょうか?
その背景には、馬券購入者の集団心理が大きく影響しています。

人は無意識のうちに他人の行動に影響を受け、多数派の意見に流されやすい傾向があります。
これを心理学では「バンドワゴン効果」と呼びます。
競馬においても、メディアの情報や有名な予想家の印に多くの人が乗り、特定の馬に人気が集中することで、その馬のオッズが実力以上に下がってしまう「過剰評価」が起こり得るのです。

例えば、以下のような状況を想像してみてください。

  • ケース1:有名予想家の本命
    複数の競馬新聞や有名予想家が同じ馬を本命に推した場合、その馬の馬券は通常よりも多く買われ、オッズは実力以上に低くなることがあります。
  • ケース2:メディア露出の多い馬
    テレビや雑誌で大きく取り上げられた馬は、その情報に触れた多くのファンが注目し、人気が集まりやすくなります。

このように、人気は必ずしも実力とイコールではなく、時には幻想を生み出すことがあるのです。

騎手と厩舎の意図をどう読むか

馬券検討において、馬の能力分析はもちろん重要です。
しかし、それと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、レースに関わる「人」の要素、すなわち騎手と厩舎の意図を読むことです。

騎手は単に馬に乗っているだけではありません。
その日の馬の状態、展開、他のライバル馬との力関係を瞬時に判断し、勝利へと導く戦略家です。
また、厩舎(競走馬を管理・調教するチーム)も、その馬の特性を最大限に活かすための仕上げやレース選択を行います。

これらの「人の意図」は、オッズには直接現れにくい情報です。
しかし、元銀行マンとしての経験から言えば、数字の裏に隠された情報を読み解くことこそが、本質を見抜く鍵となります。

例えば、

  • 勝負気配の強い騎手: 特定のレースに強い思い入れを持つ騎手や、その日に賭ける騎乗をしている場合など。
  • 厩舎の戦略: 連戦の疲れを考慮したローテーションなのか、それともここ一番の勝負なのか。

これらの要素を丹念に読み解くことで、「人気馬だから安心」という短絡的な思考から脱却し、より深いレベルでの予想が可能になるのです。

誤解その2:「過去の実績」が未来を保証するという思い込み

競馬予想において、過去のレース成績は非常に重要なファクターです。
しかし、「過去に強かったから次も勝つだろう」という単純な思考は、時として大きな誤解を生みます。
過去のデータはあくまで参考情報であり、未来を完全に保証するものではありません。

過去データに潜む“罠”とは

過去のレース結果を分析する際、私たちはいくつかの“罠”に注意する必要があります。
例えば、持ちタイム。
一見すると、速いタイムで走った馬は能力が高いように思えます。
しかし、タイムはレースが行われた日の馬場状態や展開によって大きく左右されます。

考えてみてください。
追い風が強く、非常に走りやすい馬場状態で行われたレースのタイムと、雨でぬかるんだ重馬場で行われたレースのタイムを単純比較できるでしょうか?
答えはノーです。

また、過去の好走歴も鵜呑みにはできません。
その勝利が、展開に恵まれたものだったのか、相手関係が楽だったのかなど、様々な角度から検証する必要があります。
データは嘘をつきませんが、データの表面だけを見てしまうと、本質を見誤ることがあるのです。

天候・馬場状態・展開など「変数の影響」

競馬は屋外で行われるスポーツであり、天候や馬場状態といった自然条件の影響を大きく受けます
雨が降れば芝は滑りやすく、ダートは締まって走りやすくなるなど、馬場状態は刻一刻と変化します。

これらの変化は、各馬のパフォーマンスに直接的な影響を与えます。

  • 道悪巧者: 雨で馬場が悪化すると、パワー型の馬や道悪を得意とする血統の馬が台頭することがあります。
  • 展開利: レースのペース(速いか遅いか)や、逃げ馬・先行馬・差し馬・追い込み馬といった脚質によって、有利不利が大きく変わります。

例えば、開幕週の綺麗な馬場では、前に行った馬がそのまま粘り込む「前残り」の展開が多く見られます。
逆に、開催が進んで馬場が荒れてくると、外を回った差し馬が有利になることもあります。
これらの「変数」を考慮せずに過去のデータだけを信じ込むのは、非常に危険なアプローチと言えるでしょう。

過去10年の分析から見える“傾向と反転”

私自身、過去10年以上の膨大なレースデータを自作のExcelで管理し、分析を行っています。
長期的なデータを分析することで、確かに特定のコースやレースにおける「傾向」は見えてきます。
例えば、「このレースは内枠が有利」「この時期は牝馬が強い」といった具合です。

しかし、重要なのは、これらの傾向が永遠に続くわけではないということです。
競馬の世界も常に変化しており、馬場改修、競走馬のレベル向上、騎手の戦術の変化などにより、過去の傾向が突然「反転」することもあります。

過去データの分析で重要な視点

分析項目注目ポイント
コース別成績特定の競馬場や距離での得意・不得意
騎手・厩舎成績特定の条件下での好成績パターン
血統背景馬場適性や距離適性、成長力など
近年のトレンド変化過去の傾向が現在も通用するかの見極め

過去のデータはあくまで羅針盤のようなもの。
それをどう解釈し、現在の状況にどう当てはめるかが、予想の精度を左右するのです。

誤解その3:「感覚」や「ひらめき」が当たる世界だと思っている

「今日のレースはなんだか荒れそうだ」
「この馬、妙に気になるんだよな…」
競馬を楽しんでいると、ふとした瞬間に「感覚」や「ひらめき」が舞い降りてくることがあります。
そして、時にそういった直感が大的中を生むこともあるため、「競馬はやっぱり感覚が大事なんだ!」と思いがちです。
しかし、本当にそうでしょうか?

勝負勘の正体:直感と経験則の境界線

いわゆる「勝負勘」と呼ばれるものは、決して超能力のようなものではありません。
多くの場合、それは長年の経験によって蓄積された知識やデータが、無意識のうちに処理された結果として現れるものです。
つまり、一見「ひらめき」のように感じられるものも、実は過去の膨大な経験則に裏打ちされていることが多いのです。

例えば、ベテランの競馬ファンがパドックで馬を見た瞬間に「今日のこの馬は気配が違う」と感じることがあります。
これは、過去に何千何万という馬を見てきた経験から、無意識のうちに馬の体調や気合の乗りを判断しているのです。

しかし、注意しなければならないのは、経験の浅い人が抱く「感覚」は、単なる思い込みや願望である可能性が高いということです。
論理的な裏付けのない直感は、ギャンブルの罠に繋がりかねません。

ロジック vs ひらめき:共存できるのか?

では、競馬予想においてロジック(論理)とひらめき(直感)は、どちらが重要なのでしょうか?
私は、この二つは対立するものではなく、むしろ共存し、補い合うべきものだと考えています。

データ分析や過去の傾向といったロジカルなアプローチは、予想の土台を築く上で不可欠です。
しかし、競馬は生き物相手の勝負であり、数字だけでは測れない要素も確かに存在します。
馬の当日のコンディション、騎手の心理状態、レース中のわずかな展開の綾…。
これらを読み解く際には、経験に裏打ちされた「ひらめき」が役立つこともあります。

大切なのは、感情や直感に流されるのではなく、あくまで論理的な分析をベースに置きつつ、最後のスパイスとして経験則からくる感覚を活かすことです。

“感情を数字で語る”というアプローチ

元銀行マンである私は、物事を数字で捉え、論理的に分析することを得意としています。
しかし、競馬の世界に足を踏み入れて痛感したのは、数字だけでは語り尽くせない「感情」や「物語」が存在するということです。

一頭の競走馬の背後には、生産者、馬主、調教師、厩務員、そして騎手といった多くの人々の想いが詰まっています。
その馬がレースで勝つか負けるかは、単なる数字の結果以上の意味を持つのです。

私の目指す競馬予想は、この「感情」の部分を、いかに「数字」や「ロジック」と結びつけて語れるかという点にあります。
例えば、

  • 騎手の乗り替わり: なぜこのタイミングでこの騎手に乗り替わったのか?そこには陣営のどんな戦略や期待が込められているのか?
  • 馬のローテーション: なぜこのレースを選んできたのか?前走からの間隔や、ここに至るまでの過程にどんな意図があるのか?

これらの「なぜ?」を深掘りし、感情的な背景を論理的に解釈することで、より精度の高い、そして何よりも面白い予想に繋がると信じています。
競馬は、数字で語られる感情のドラマなのです。

当たらない競馬からの脱却法

ここまで、競馬予想における3つの大きな誤解について解説してきました。
では、具体的にどうすれば「当たらない競馬」から脱却できるのでしょうか?
ここでは、私が実践している情報整理術や、オッズと騎手心理の読み解き方、そしてリスクを取るための決断方法についてお伝えします。

「読み」の精度を上げる情報整理術

競馬予想は情報戦です。
新聞、インターネット、専門誌など、様々な媒体から膨大な情報が発信されています。
これらの情報をやみくもに集めるだけでは、かえって混乱し、本質を見失ってしまいます。

大切なのは、自分にとって本当に必要な情報を見極め、整理し、分析する力です。

石原流・情報整理の3ステップ

1. 目的の明確化
まず、「何を知りたいのか」「どの情報を重視するのか」を明確にします。
例えば、「今日のレースの馬場傾向を知りたい」「この馬の長距離適性を見極めたい」など、具体的な目的意識を持つことが重要です。

2. 情報源の選定とフィルタリング

信頼できる情報源を選び、不要な情報は大胆にカットします。
全ての情報を鵜呑みにするのではなく、自分なりの基準で情報を取捨選択することが求められます。
最近では、様々な競馬予想サイトが存在しますが、その中の一つとして「暴露王のようなサイトがどのような競馬情報を提供し、ファンからどう評価されているのか」を調べてみるのも、情報収集の幅を広げる一助となるかもしれません。

3. 構造化と可視化
収集した情報を、Excelやノートなどを活用して構造化し、可視化します。
例えば、各馬の過去走成績、持ちタイム、血統背景、騎手との相性などを一覧表にまとめることで、比較検討が容易になります。
私自身、自作のExcelデータベースを活用し、様々な角度からデータを分析しています。

この情報整理術は、銀行員時代に培ったデータ分析スキルが活きている部分でもあります。
情報を制する者が、競馬を制すると言っても過言ではありません。

石原流・オッズと騎手心理の読み解き方

オッズは単なる人気投票の結果ではありません。
そこには、馬券購入者の期待や不安、そして時にはプロの馬券師たちの思惑が複雑に絡み合っています。
このオッズの「歪み」を見抜くことが、馬券的中の鍵となります。

オッズ分析のポイント

  • 時系列オッズのチェック:
    レース直前にオッズが大きく変動する場合、何らかの「情報」が影響している可能性があります。
    特に、人気薄の馬のオッズが急に下がり始めた場合は要注意です。
  • 単勝と複勝オッズのバランス:
    単勝オッズに比べて複勝オッズが異常に低い場合、その馬は「2着、3着には来る可能性が高い」と見られている可能性があります。
  • 過剰人気・過小評価の見極め:
    メディアの情報や前評判に惑わされず、自分自身の分析に基づいて、そのオッズが本当に妥当なのかを冷静に判断します。

そして、オッズ分析と並行して重要になるのが騎手心理の読み解きです。
騎手も人間ですから、プレッシャーを感じたり、逆にリラックスして臨めたりと、精神状態は常に一定ではありません。

騎手心理を読むヒント

  • リーディング上位騎手の動向:
    リーディング上位の騎手は、勝てる馬、つまり有力馬に騎乗する機会が多くなります。
    しかし、人気馬に騎乗するプレッシャーも相当なものです。
  • 乗り替わりの背景:
    なぜその騎手に乗り替わったのか? 陣営の勝負気配の表れなのか、それとも単なる巡り合わせなのか。
  • 騎手の得意パターン:
    逃げが得意な騎手、追い込みが得意な騎手など、騎手にはそれぞれ得意な戦法があります。
    そのレース展開が、騎乗する騎手の得意パターンに合致するかどうかを見極めます。

オッズという「市場の声」と、騎手という「勝負師の心理」。
この二つを多角的に分析することで、レースの深層が見えてくるはずです。

リスクを取るための“根拠ある決断”の作り方

競馬で勝ち続けるためには、どこかでリスクを取る必要があります。
しかし、それは闇雲に穴馬を狙うこととは全く異なります。
大切なのは、「根拠のある決断」を下すことです。

銀行員時代、私は融資判断において常に「リスクとリターン」を天秤にかけてきました。
その際に最も重視したのは、「なぜこの融資は回収可能だと判断できるのか」という論理的な根拠です。
競馬予想も全く同じです。

根拠ある決断のための思考プロセス

1. 仮説の設定:
まず、「この馬が好走するのではないか」「このレースは荒れるのではないか」といった仮説を立てます。

2. 根拠の収集と分析:
次に、その仮説を裏付けるための根拠を集め、分析します。
過去のデータ、馬場状態、調教内容、騎手のコメント、オッズの動きなど、あらゆる情報を駆使します。

3. リスク評価:
仮説が外れた場合のリスク(馬券が外れる確率や損失額)を冷静に評価します。

4. 期待値の判断:
リスクとリターン(的中した場合の配当)を比較し、その馬券を買う「期待値」があるかどうかを判断します。

5. 決断と実行:
最終的に、自分自身の分析と判断を信じて決断し、馬券を購入します。

「なんとなく」で馬券を買うのではなく、一つ一つの選択に明確な理由を持つこと。
これが、長期的に競馬で結果を出すための最も重要な心構えだと、私は考えています。

まとめ

今回の記事では、「あなたの競馬はなぜ当たらないのか?」という問いに対し、多くの競馬ファンが陥りがちな3つの誤解を解きほぐしてきました。

1. 「人気馬に乗れば安心」という幻想
オッズは馬の実力だけでなく、集団心理や過剰評価によって歪むことがある。

2. 「過去の実績」が未来を保証するという思い込み
過去データは重要だが、天候や馬場状態、展開といった変数の影響を考慮し、傾向の変化にも注意が必要。

3. 「感覚」や「ひらめき」が当たる世界だと思っている
勝負勘は経験則の賜物であり、ロジックとひらめきは共存させることが重要。

これらの誤解の背後には、情報を鵜呑みにしてしまう思考の偏りや、感情的な判断に流されてしまう傾向が隠れています。

私が競馬ライターとして、そして一人の競馬ファンとして実践しているのは、「論理と情熱の融合」です。
元銀行マンとしてのデータ分析力や論理的思考を土台にしつつ、競馬というドラマが持つ情熱や物語性を大切にする。
このバランスこそが、競馬予想の精度を高め、そして何よりも競馬を深く楽しむための秘訣だと信じています。

この記事を読んでくださったあなたに伝えたいのは、競馬を単なる“偶然”のゲームとして捉えるのではなく、“選択”の世界に変える視点を持ってほしいということです。
情報を吟味し、自分なりの根拠を持って馬券を選ぶ。
そのプロセス自体が、競馬の大きな魅力であり、あなたの競馬観をきっと豊かにしてくれるはずです。

あなたの競馬ライフが、今日から少しでも変わることを願っています。